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「ねぇ…ロコ、モコ。わたしのココロって。どういうこと?」

 

きっと、言葉どおりの意味だとは思うんだけど。

間違っていたら大変だし、ちゃんと聞いておこう。

 

「ココロって言ったらココロだよ。気持ちさ。名前のこと言ってるんじゃないよ?」

「そう、なの。ヒトが持っている気持ちだよ。想い、だよ」

「そう、だよね。うん。でも……」

 

気持ちって言ったって、たくさんあるよね。

楽しいこと、悲しいこと、嬉しいこと、辛いこと。

そういった気持ちの何かってことかな?

 

「わたしは〝勇気〟だ」

「モコは〝愛〟なの」

「勇気と…愛?」

 

つまり、わたしのココロにある勇気と愛という気持ちが、

ロコとモコということらしい。

 

「この気持ちは、想にとって一番輝いてた気持ちなんだよ」

「一番、輝いてた?」

「そうなの。でもでも、急に閉じ込められちゃったの」

「そうだったな。真っ暗な部屋に閉じ込められた」

「…………それで?」

「うん。それで昨日のことに繋がるんだけど、さ」

「気がついたらベッドで寝てたの~」

 

どうして実体化(?)したのか、それは2人にもわからないみたい。

しかし、わたしには心当たりがあったりします。

わたしは、これに近い感情を捨ててしまいたいと願っていたからです。

 

そして、ロコとモコは最後にこう語りました。

 

「わたしたちは、想のココロに戻りたいんだよ」

ココロコモコ その7

ココロコモコ その9

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学校が終わり、わたしは急いでお家に帰ります。

授業を受けているときも、休み時間も、お昼休みも、

ロコとモコのことについて気になって仕方なかったから。

 

「あれ? ……いない」

 

まるで、昨日の出来事がまぼろしのように、

わたしの部屋には誰もいませんでした。

浮かれていた気分が、スッと消え落ちてしまった。

 

しかし、

 

「「わっ!」」

「!?」

 

後ろからポンッと手のひらで押され、

わたしは前にふらふらと歩いてしまう。

振り向くと、そこにはにっこりと頬笑むロコとモコがいました。

 

「えへへ、ビックリした?」

「おかえりなさい、なの」

「ビ、ビックリしたよ。どこ行ってたのよ、もう」

 

ぺたん、と座りこむわたし。

一息ついて、わたしは2人に話していた約束について聞いてみます。

 

「部屋から出ちゃだめって、言ったでしょ?」

「わたしら一歩も出てないよ。ね、モコ」

「うん。わたしたちは出ていない、なの」

 

ねー、と可愛らしく相づちをするロコとモコ。

でも、それだと2人が部屋にいなかったことの説明になっていない。

わたしが部屋に入ったときに、後ろから来たんだもん。

 

「でも、いまさっき部屋にいなかったじゃない」

 

そう問いただすと、ロコとモコはこう答えました。

 

「前にも言ったよね。わたしたちは想のココロだって」

「ずっと一緒にいたんだよ、こころぉ」

 

すっかり忘れていました。ロコとモコの存在。

わたしのココロって、どういうことなんだろう。

 

荷物を置いて、ベッドに座るわたし。

その両隣にロコとモコがちょこんと座って、

腕を絡ませて身を寄せてきます。やっぱり可愛いなぁ。

 

せっかくなので、しっかりと聞いておこうと思います。

わたしのココロの意味を。



ココロモコモ その6

ココロコモコ その8

家を出てすぐのところにある公園で

織菜ちゃんを待つのがわたしの日課。

到着して5分後くらいに織菜ちゃんが来ます。

 

「おはよう、織菜ちゃん」

「おはよっ」

 

わたしよりも一回り小さくて可愛い織菜ちゃんは、

いつもどおり爽やかな笑顔で快活に挨拶してくれます。

 

「今日からまた退屈な学校かぁ。明日からまた休みになんないかなぁ」

「それは無理だよ、織菜ちゃん」

「わかってるって。でも、勉強するよりもっと遊んでたいじゃん?」

「うん、そうだね」

 

ふと、ロコとモコのことを思い出す。

2人とも可愛いし、昨日は眠っちゃったからもっと遊んであげたいな。

 

「もっと休みがいっぱいあればいいのに。って想?」

「な…なに?」

「いやぁ…何ていうか。何か良いことあった?」

「え? そうみえる? ……うん。まぁ、ちょっとね」

「わかってるって。どーせ、また可愛いものでしょ」

 

たしかにその通りなのだけれど、

わたしは秘密にすることにしました。

だって、ロコとモコのことを言ってしまったら、

より一層、変わった人に見られてしまうのが目に見えているもん。

 

「そんなとこ、かな」

 

曖昧な返事を残して、わたしたちの会話は終わり。

それから学校までの通学路は、淡々と緩やかな時間が過ぎていきます。

この手の話題のときは、こうなってしまうことが多いです。

 

それでも、わたしは気に病んだりはしません。

少しだけ自分を抑えていれば、離れていくことがないから。

唯一、わたしのそばにいてくれる可愛い存在が離れていかないから。

 

わたしのかけがえのない大切な存在だから。



ココロコモコ その5

ココロコモコ その7

つぎの日。月曜日の朝。

わたしは学校へ行く仕度をしていると、

モコが不思議そうな顔でわたしを見つめていた。

 

「こころぉ。どこかにお出かけなの?」

「モコ。昨日話してたでしょ。想は学校に行くんだよ」

「ガッコウ? それ、どこなの?」

 

モコは昨日の夜にわたしが話したことを、すっかり忘れているみたい。

うつろ眼で聞いていたので無理もないけれど。

わたしがせっせと仕度を済ませている向こうで、

一生懸命になってロコが説明している姿がとっても可愛いらしい。

 

「それじゃあ、夕方には帰ってくるから。部屋から出ないでね」

「あぁ……待ってぇこころぉ」

「え!?」

 

部屋から出ようとしたとき、モコがわたしの足にしがみついてきました。

 

「はやく、帰ってきてね。モコ、待ってるからぁ」

 

ぎゅっと、力強くわたしの足をつかむモコ。

わたしはその可愛らしさのなかに、あたたかい何かを感じました。

ふだん、こんなふうに見送られたりしないから。かな。

 

「うん。できるだけ早く帰ってくるね」

「きっと、だよ」

 

そう言ってモコはわたしから離れて、

「いってらっしゃい、なの」と見送ってくれた。

その言葉に乗っかるように、ロコも「待ってるよ」と照れくさそうに言う。

 

わたしはここ数年に出していない弾んだ声で、

「いってきます」と言って学校へと向かいました。

ココロコモコ その4

ココロコモコ その6

目を覚ますと、モコはまだわたしの隣で寝ていて、

ロコはベッドで寝転びながら何かを読んでいました。

わたしが大切にしている写真が挟まったアルバム。

そこに写っているのは、いろいろなお洋服で着飾ったわたしと……。

 

「ねぇ、想。こっちの可愛い娘は誰?」

 

寝起きのわたしに聞いてくるロコ。

彼女の名前は「織菜(おりな)」ちゃん。

わたしが中学生のときに近所に引っ越してきた1つ下の女の子で、

とっても可愛くて、とっても仲良しだったお友達です。

 

学校は中高一貫校なので、いまでも後輩です。

友達以上親友未満という感じで、毎朝一緒に登校しています。

やっぱり、わたしの趣味を受け入れられない織菜ちゃんのために、

2人でいるときは、そういった話題を出さないようにしています。

 

「織菜ちゃんかぁ。可愛いね。仲良しなんだ」

「最近は、ほとんど遊ばなくなっちゃったけどね」

 

ロコの隣に座って、久しぶりに眺めるアルバムの写真。

織菜ちゃんは本当に可愛い。だから、本当に大好きなのに。

いまの織菜ちゃんにそんなことを言ったら、怒られちゃうだろうなぁ。

 

懐かしい想いを感じていたとき、わたしは思い出した。

明日、学校に行っている間、ロコとモコはどうしたらいいのかな。

 

……お留守番? かな。

ココロコモコ その3

ココロコモコ その5
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