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目を覚ますと、モコはまだわたしの隣で寝ていて、
ロコはベッドで寝転びながら何かを読んでいました。
わたしが大切にしている写真が挟まったアルバム。
そこに写っているのは、いろいろなお洋服で着飾ったわたしと……。
「ねぇ、想。こっちの可愛い娘は誰?」
寝起きのわたしに聞いてくるロコ。
彼女の名前は「織菜(おりな)」ちゃん。
わたしが中学生のときに近所に引っ越してきた1つ下の女の子で、
とっても可愛くて、とっても仲良しだったお友達です。
学校は中高一貫校なので、いまでも後輩です。
友達以上親友未満という感じで、毎朝一緒に登校しています。
やっぱり、わたしの趣味を受け入れられない織菜ちゃんのために、
2人でいるときは、そういった話題を出さないようにしています。
「織菜ちゃんかぁ。可愛いね。仲良しなんだ」
「最近は、ほとんど遊ばなくなっちゃったけどね」
ロコの隣に座って、久しぶりに眺めるアルバムの写真。
織菜ちゃんは本当に可愛い。だから、本当に大好きなのに。
いまの織菜ちゃんにそんなことを言ったら、怒られちゃうだろうなぁ。
懐かしい想いを感じていたとき、わたしは思い出した。
明日、学校に行っている間、ロコとモコはどうしたらいいのかな。
ココロコモコ その3
ココロコモコ その5
「お世話になるの、こころぉ」
不思議なことを言うし、謎ばっかりの状況だけれど、
とりあえず、わたしはロコとモコという存在について信じてみようと思います。
何より、2人ともすっごく可愛いし。
いきなり妹が2人できたみたいで、嬉しい気持ちがいっぱいだから。
ベッドは2人に占領されていたので、わたしはソファに腰を下ろす。
2人はどうして現れたんだろう。お母さんに何て説明しよう。
わたしの「ココロ」だと言っていたけど、それはどういう意味なんだろう。
これからどうして過ごしていけばいいんだろう。
そんなふうに2人を見ながら考えをまとめようとしていると、
トテトテと2人がわたしに向かってきました。
そして、わたしの両隣にちょこんと座り、
「はぅぅん。こころはあったかい、なの」
「ほんとだ。あったかい」
と、身を寄せてきました。
「え? ……えぇ?」
2人は本当にあったかい。けれど、わたしにはどうしたら良いかわかりません。
こんなふうに、触れ合うことに慣れていないから。
わからないなりに、わたしは2人の頭を優しく撫でてみました。
すると、
「……すー」
優しく頬笑み、おやすみしちゃいました。
可愛い見た目に加えて、寝顔はまるで天使そのもの。
こんなにも可愛い存在に、いままで出会ったことがありません。
暖かくて、嬉しくて、その優しい気持ちに包まれたわたしは、
気がつくと、ロコとモコと一緒におやすみしていました。
ココロコモコ その2
ココロコモコ その4
けれど、その容姿からはとても日本人とは思えません。
どこの国にも属さない、「妖精」という言葉が似合う雰囲気を醸しています。
手前に寝ていたのは、さらさらで短めの茶色い髪に黄色いハートが付いたヘアピン。
英国紳士を思わせる服装で、ボーイッシュな感じの女の子。
その奥で寝ているのは、対照的に毛先がふわふわの金髪少女。
同じく、ハート付きのヘアピンだけれどカラーがピンクとキュートな感じ。
フリルがいっぱいのホワイトドレスを身にまとい、小さく丸まって可愛らしい。
状況はまったく分からないけれど、そこに2人の女の子がいるのは確かなのです。
ひとまずこの状況を受け入れることにしたわたしは、2人を起こすことにしました。
「あの……起きてくれませんか」
ゆさゆさと優しく肩をさすってみると、2人がゆっくりと目を覚ます。
「んぅ……あ、帰ってきたんだ」
「うぅ…ん。もう少し…んにゃむにゃ……」
「ちょっとモコ。起きなきゃダメだよ」
茶髪の子はパッと起き上がり、金髪の子の手を引っ張り起こす。
そして、2人はわたしと向き合って自己紹介を始めました。
「わたしはロコ。よろしく」
「わたしはモコ、なの。よろしく……なの」
茶髪の子がロコで、金髪の子がモコ。
何の説明もない自己紹介を終えると、ロコがさらりと言う。
「わたしたちは、あなたのココロです」
わたしにはまったく理解できませんでした。
ココロコモコ その1
ココロコモコ その3
可愛いモノがとにかく好きで、好きでたまらない高校2年生。
いまでもその想いは変わらず、可愛いモノばかりを集めるのが趣味の女の子です。
もちろん、わたしを可愛くすることも大好き。
見た目の服装だけじゃなく、言葉づかいも可愛らしさを意識して人生を楽しんでいます。
こんなふうに可愛いモノに包まれていれば楽しめるわたしだけれど、
友達が少ないのが悩みだったりします。
度を超えた可愛いモノ好き、というわたしの振る舞いは、
ある程度仲良くなると、距離を置かれてしまうみたいで……。
だから、本当に…仲の良い友達「親友」と呼べる人がいません。
それでも。わたしはいまの人生を倖せだと思っています。
ほんの少しだけ、寂しさを感じるときもあるけれど、倖せなんです。
このまま高校を卒業して、大学に入学して、何も変わらないまま就職して。
ずっとずっと、いまと同じわたしのまま、これ以上の倖せを感じぬまま、
歳をとっていくんだろうと思っていたんだけれど……。
今日、春用に買ったフリフリのワンピースに心を躍らせておうちに帰ったそのとき。
わたしの人生を思いもよらない道へと導く出来事が目の前に広がっていました。
その出来事はというと、
わたしの部屋で、ものすごく可愛い2人の女の子がベッドで眠っていたのです。
ココロコモコ その2