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「織菜ちゃんはやっぱり可愛いね」

 

わたしは覚悟を決めて話し始めました。

 

「何なに? 急にどうしたの?」

「うん。織菜ちゃんはわたしが思ってる……ううん。それ以上に可愛い」

「え? あ、ありがと。……って、全然分かんないんだけど」

 

何を言われているのかわからない様子の織菜ちゃん。

無理もありません。わたしが勝手に話し始めたわたしだけのことだもの。

だけど、ここで勢いを止めちゃったら……わたしはまた後戻りしちゃいそう。

だから、わたしはやめません。

 

「聞いて、織菜ちゃん。わたし、言うから」

「う、うん。……何?」

「わたしね。……わたし、ずっと織菜ちゃんが好き、なの」

 

言った。言いました。ついに、言ってしまいました。

自分の口から言葉にしたら、ドキドキが一気に加速して、

わたしの躰全体に響くほど、激しく鼓動しています。

 

「うん。わたしも想のこと好きだよ」

「そうじゃなくって! ……その、わたしは織菜ちゃん、のこと」

 

これ以上、どういうふうに伝えたら良いのか分からない。

これがわたしにとって、精一杯の伝え方なのです。

 

「なるほど、ね。想はわたしのこと友達以上に好きだって言いたいの?」

「……うん。そう」

「ふぅん。まぁ……それは分かった。ちょっとだけでいいから考えさせて」

 

織菜ちゃんは座っていたブランコを小さく揺らして、空を見上げています。

何を考えているんだろう。何を悩んでいるんだろう。

こんなこと、成立するハズがないって私自身が思っているのに、

織菜ちゃんはいったいどんなことを想像しているんだろう。

 

「想」

「な、何?」

「ひとつだけ、確認させて。想はわたしの可愛いところが好きなの?」

「うん。他の人にはない織菜ちゃんの可愛いところ、好きだよ」

「可愛いところ、だけ? それって、見た目だけってこと?」

「えっ!? ち、違……うよ」

 

わたしが織菜ちゃんを好きになったのは、たしかに見た目なのかもしれない。

でも、好きになって、友達になって……一緒に過ごすようになって、

わたしはこの気持ちに気づいたのです。

好きになるきっかけってことだったら合っています。

それは、ちゃんと伝えなきゃいけない。

 

「は、はじめはそうだった。わたし、可愛いの好きだから」

「……呆れちゃうくらい、好きだもんね」

「でも、いまはそれだけじゃないよ。わたし、ずっと見てきたもん」

「見てきたって、わたしのこと?」

「そう。ずっと自分の気持ち抑えて、織菜ちゃんのこと見てきた」

 

わたしは、大好きな可愛いことの話題になると話が止まらなくなっちゃうから。

夢中になって話しちゃって、話題がそれだけになっちゃうから抑えてきたのです。

 

「だから、織菜ちゃんの素敵なところ……いっぱい感じていたんだよ」

「そっか。つまり、見た目だけじゃないってことだよね」

「そうだよ。……でも、これだけじゃダメなの」

「どういうこと?」

 

わたしの気持ちは……伝わったと思います。

けど、もうひとつ伝えなければならないことがあります。

 

それは……。



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